「図書館情報技術論」レポート(合格)

司書資格

※注意!
丸写しや、類似したレポートは不合格になります。
あくまで参考に、自分の言葉でレポートを書いて下さい。

何があっても責任は負いかねます。

【設題】
自身の考える新図書館構想について論じなさい。
本科目では、図書館における情報技術を切り口にして、基本的な学習をしました。それらの情報技術を総合的に活用し、将来の図書館はどうあるべきかについての自身の考えを、レポートにまとめなさい。

【解答】

 1.はじめに
 
  インターネットとデジタル化の急速な発展は、図書館のシステムを大きく変えた。それに伴い、社会との軋轢も生じている。図書館は、どうあれば社会と調和したサービスとして存在できるのか、その将来像についての構想を述べる。
 
 2.出版文化の維持とデジタル化社会
 
  2017年10月、全国図書館大会で行われた発言が、新聞各紙で話題となった。文庫貸し出しが文庫市場の低迷に影響しているとして、「どうか文庫の貸し出しをやめてください」[1]と、出版社社長が嘆願したのである。同分科会では「計量経済学的研究によると、図書館は出版物販売に負の影響は与えていないとの結果が出されている」[2]との発言もあり、直接的な因果関係は証明されていない。しかし、最近の図書館は無料貸本屋と揶揄されることもあり、公共サービスとしてのあり方が問われている。[3]「最近の売れる情報は企業が扱い、売れなくなった情報は図書館が扱う」[4]という発想もあるが、これもつなぎ的な措置でしかない。なぜなら、今後は書籍のデジタル化が一層進み、全ての出版はデジタルでなされる時代がくるであろうと予想するからである。その時図書館は「電子図書館」となり、個人が好きなデバイスでアクセスし、データで閲覧することになるであろう。
  扱う資料が「物」であった時代には、貸出点数が限定されるため、不特定多数に無料で貸し出してもさほど問題にはならなかった。しかし、それがデジタルとなると、無料で配信する行為は無料で配布することと同じである。著作者や出版社が収益を得られなければ、出版文化が衰退する恐れがある。
  住民の知る自由を保障するため、図書館は「住民の意思を受けて」資料を提供し、「知る自由の拡大に努めなければならない」。[5]しかし、今や、データ化された情報であれば、全ての人に、同時に、一瞬で配信することが可能である。このような時代に、図書館は、果たしてどこまでサービスを提供するべきであろうか。

 3.将来の図書館の姿
 
  やがて訪れるであろう総デジタル化社会において、私が考える新しい図書館像とは以下のものである。
 
 ①蔵書は絵本や児童書、郷土資料が主である。
 ②書籍や雑誌は、デジタルデバイスで、全て無料で閲覧できる。
 ③デバイスは、人口に応じて相当数図書館に用意する。
 ④図書館のデバイスは、住民に限り館外に貸し出し可能で、ビジターは館内閲覧のみである。
 ⑤図書館に行かなくても、インターネットを利用してアクセスし、情報を閲覧できる。
 ⑥図書館のデバイスでしか閲覧できない情報も存在する。利用料の必要な情報や、貴重な情報、不特定多数に公開するべきではない情報などである。
 ⑦図書館は資料を購入する必要はなく、利用回数に応じてレンタル料を支払う。
 ⑧司書の仕事は少量の蔵書の管理と、検索の支援、ネットワークとデータベースの保守・整備となる。また、各種データベースやアーカイブを含めた広範な検索ができるスキルが求められる。
 ⑨図書館は、情報検索の技術や情報の扱い方、情報というものの意味を住民に指導する。
 
  これには、出版社を含めた出版システムの改革が必要となる。出版社は販売データとレンタルデータの2種類の情報を用意し、国会図書館のような取りまとめ機関にアップロードする。これが「出版」になる。レンタルデータはコピーや改ざんができないようにガードを施し、2週間程度の期限で消滅するようプログラムする。書店は販売データを消費者に購入してもらい、図書館はレンタルデータを利用者に無料で提供する。例えばアマゾンが行っている映像配信サービスの場合、レンタル開始より30日間レンタルでき、視聴を開始した時間から一定時間で終了する。[6]書籍もこれに準じた方式を用いると良いと考える。
  利用回数に応じて支払うシステムは、出版社や著作者の利益を損なわず、全ての書籍が利益を受けることができる。
  また、蔵書として絵本、児童書があるのは、子供達が文字から情報を得る過程において、手で触れる等の身体的な動きと共に文字情報を体験することは重要であると考えるからである。「人はデータ、情報、知識の階梯を、論理性だけでなく感性も動員して登っていくもの」[7]であり、文化的なシンボルとしても、「館」としての図書館は必要であると考える。
  サービス形態においてはレンタル業者と競合するが、現在においても娯楽性の強いものは図書館は扱っておらず、最新作は民間の業者が配信している。上手く棲み分けることは可能であると考える。
 
 4.おわりに
 
  図書館とは、国民の知る自由を保障し、近年は生涯学習をサポートする機関としても貴重な役割を担っている。[8]無料で利用できるということが、全ての国民に平等に、その権利を守る上で重要である。しかし、もし企業や個人の経済活動を損なう可能性があるならば、そうならないためのしくみを検討するべきであろう。どんなに科学が進歩し、社会が変わろうとも、図書館は情報のアーカイブとして、社会と調和して存在しなければならないし、またそれが可能であると考える。

 

【参考文献・参考サイト】

[1]松井 清人「文芸書系出版社の立場から図書館を考える」第103会全国図書館大会 東京大会 第21分科会 出版と図書館「公共図書館の役割と蔵書,出版文化維持のために」4p
http://jla-conf.info/103th_tokyo/app/webroot/img/103_section21.pdf

[2]根本 彰「出版と図書館を考える」 同上 2p

[3]海老沢 類「『図書館は今』(中)「無料貸本屋」論争 販売部数を上回った貸出数」『産経ニュース』2015年11月03日
http://www.sankei.com/life/news/151103/lif1511030012-n1.html

[4]長尾 真『電子図書館』岩波書店1005年 114p

[5]日本図書館協会 図書館政策特別委員会「公立図書館の任務と目標」 第一章の2(知る自由の保障) 2004年3月改訂
http://www.jla.or.jp/library/gudeline/tabid/236/default.aspx

[6]Amazonビデオ 使い方(2017年12月23日閲覧)
https://www.amazon.co.jp/gp/video/getstarted/ref=sv_aiv_5

[7]谷口 敏夫 『電子図書館の諸相』白地社 1999年 108p

[8]図書館法
http://www.mext.go.jp/a_menu/sports/dokusyo/hourei/cont_001/005.htm

個人的な感想+図書館の未来について

最後のレポートでした。

これを最後にしたのは、勉強したこと全てが問われる設題だなと思ったからです。

勉強していく間に、きっと、書きたいことが見つかるんじゃないかなと思っていました。

図書館の歴史や役割、使命、デジタル化の波や、指定管理の問題など、今まで書いてきた10個のレポートを思い出しながらパソコンに向かうと、自然と言葉は出て来ました。

思うまま、好きなように書けたので、このレポートは書いていて楽しかったです。

でも、ちょっと自由すぎたというか、未来すぎる像を書いてしまったかな〜と反省しています。

でも、合格はいただけました。ありがとうございました。

 

図書館の未来について、論文ではえらそーに言い切っていますが、正直言うと葛藤はあります。

電子書籍ばかりになるのは、それはそれで問題もあるような気がするから。

でも、出版社にとって印刷費って大きいと思うんですよ。

配信で済むならそれで済ませたいと考えてもおかしくない。

出版社が電子書籍しか出版しなくなる日は、そう遠くないような気がするのです・・・

今は大きな出版社が出版界を独占していますが、電子出版で良いなら、個人で出版社を立ち上げることも可能なわけだから。

というか、出版社なんて介さなくても良いわけで。

個人がどんどん自分の作品としてのデータを流通させられる仕組みは既に完成しているのだから、あとはそれを収益に結びつけられるなら、出版社など要らなくなります。

技術的には、そう遠くないような気がするのです。

その時、物としての本は全てオンデマンドで発注、という形態になるはず。

現時点でも、データでしか出版(?)されていない本(?)というのがあるのですが、その本(?)は図書館で読むことができません。

そういう本(?)が主流になるかもしれない未来、図書館、そして出版社は、どうなっているのかな〜なんて、思います。

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