図書室には色々な事情で廃棄になる本があります。
年月が経って本の情報が古くなっていたり、破れたりしたもの、購入してから何年も(何十年も!)経ったものなどです。
タイミングを見計らって廃棄していかないと本棚が詰まりすぎて、かえって本を手に取りにくくなり読まれなくなっていく・・・ということもあり、蔵書の新陳代謝は司書の仕事の中でも大事なものなのです。
なのですが、時々、特に絵本はイラストが美しいこともあって、廃棄するのに心が痛みます。
表紙もボロボロで中身も紙の変色が激しい、むしろ廃棄するべき本であっても、絵が美しいためにこのまま廃棄になるのが忍びなく・・・
という訳で、封筒にしてみましたよ。
変色した部分を取り除いたり、まだ使える部分だけ使用したり、イラストが映える部分だけが出るように工夫したりする必要はありますが、封筒にしてみると、茶色くシミになった部分も“紙の味わい”として許容できる気がします。
封筒はご褒美として子供たちに配る予定ですが、もっとたくさん作れるなら、校内のバザーに出して新しい本を購入する費用にできるといいかもなぁと思います。
今回、封筒に使う本はこちら。
「わたしとあそんで」というかわいい絵の絵本です。
ご覧の通りボロボロ、シミだらけです。
むしろ、なぜこの本が今まで書架に存在していたのか、とっくに廃棄されているべき、というくらいの状態・・・なことは置いておいて。
この本は糸で閉じられていましたので、それを外し、バラバラにします。
(接着剤で閉じられた本はカッターで切り離します)
まず封筒の型を作るため、捨てるしかないページを使用します。
既製の封筒テンプレートも使ってみましたが、使う本のサイズがバラバラで、イラストが一番映えるように封筒にするには、結局本ごとに型を作る方が効率的だとわかりました。
使える部分を見計らい、周りをカットしてみます。
イラストの大きさを見ながら、今回はこんな風に切り取りました。
横の長さは大体175ミリでした。(もちろんこれは、使う本によって変わります)
次に計算をします。
横の長さからのりしろ分6〜8ミリを引き、残りを半分に割ります。
今回の場合、(175-8)÷2=83.5 です。
という訳で、今回はおよそ83ミリが封筒の横幅になります。
長いサイズを真ん中にはさみ、片方を83の半分の41ミリ、片方を41+8=49ミリで線を引きます。
折り曲げてみて、のりしろが6ミリ以上、位置が真ん中にくるように微調整します。
封筒の長辺は、使える部分全て使っても良いし、封筒としてバランスの良い長さにしても構いません。
今回はこんな感じです。
上辺の折り曲げる部分は25ミリ、底辺ののりしろは13ミリ程度です。
赤い線の部分に目印として線を引き、上の部分に「上」と書きます。
この型を裏返して使うこともありますので、裏にも同じ様に書いておきます。
「上」と書くのは、イラストにとって上下は重要なので、間違えないようにするためです。
(実際、私は何度か間違えて上下逆の残念な封筒にしてしまいました)
完成した型をページに置き、鉛筆で線を引きます。
青いナナメの線を書くのは、頂点をわかりやすくするためです。
ここがゆがむと、合わせ目がきれいに重なりません。
実は、左側の端の線が中央(本の中綴じ)からはみ出しています。
普通に型どおり取ると、女の子の顔が切れてしまうからです。
白い線で囲まれた部分が封筒になります。
こういう場合があるので、糸で綴じられた本はできるなら糸を抜いて、大きな紙として表紙から外しています。
右側も、のりしろの幅が読めなかったので、型どおり切らずに紙の端まで伸ばして切っています。
絵をきれいに見せるため、色々と微調整しながら紙を切ります。
※二つ目の手段として、用紙を封筒の裏の中心で合わせるのではなく、封筒の端で合わせることもできます。
その場合、テンプレートはあまり必要ではなく、用紙を半分にぱっと折って封筒にできるので簡単です。
切りました。
表と、裏。
裏側は封筒の中に入ってしまって見えません。
どちらをとるか、いつもすごく悩みます。
折り曲げてみました。こんな風に接着します。
できあがり。
接着剤はテープのりが便利です。
今回使ったのはPLUS「しっかり貼れる!いつものノリ!」強粘着糊、6mmタイプ。
こののりは使いやすかったのでおススメです。
※と言いましたが、厚いしっかりした紙は、後になって剥がれてきました。他にもっと強力なテープのりがあるかもしれませんので、色々と探してみてください〜。
のりしろを6〜8ミリに取ったのは、テープのりの幅が6ミリだったからでした。
本当はのりしろは5ミリ程度にしたいのですが、細い幅のテープのりが無く、たまたま手に入ったもので何とかしたのです。
でも、できればのりしろは5ミリ程度にしたいです。
なのにテープのりの主流は幅8.4ミリ・・・。
一体何故この幅なのでしょう??
メーカーさんに是非お願いがあります。
4ミリ幅のテープのりを作ってください!
そして変色しない(劣化しにくい)素材でお願いします。
封筒作りを深夜、自宅で行っていて・・・なんか昔、ドラマなどでこんなシーンがなかったっけ?なんてことから妄想が始まり・・・
ああ私、非正規ワーキングプアだし、とうとう夜なべで内職までして・・・ううっ(泣)
なんて、誰にも言う機会もないまま変にテンション上がりましてね(笑)
それはそうとこの封筒作り、ついうっかりハマってしまって、年末年始、寝る間も惜しんで励みすぎ・・・
気がつくとそこら中紙切れだらけで目は血走り、頭もズキズキ、あともう1つ、もう1枚と、止めたくても止められないアブナイ状態になりまして。
それくらい、意外と楽しい作業なんで、やりすぎ危険、眼精疲労注意です。
くれぐれも気をつけて(笑)、楽しんでくださいね。